Oisix ra daichi Creator's Blog(オイシックス・ラ・大地クリエイターズブログ)

オイシックス・ラ・大地株式会社のエンジニア・デザイナーが執筆している公式ブログです。

Microsoft Ignite 2019 の振り返り

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SREの林(@morihaya55)です。まだ少し時差ボケが残っていますが、心がフロリダ州オーランドから戻りきってないと前向きに捉えています。*1

www.microsoft.com

MS Ignite 2019について

2019-11-04から2019-11-08の5日間で開催されたMicrosoft Ignite US 2019について、新鮮なうちにセルフRecapをします。*2

開催場所はアメリカ合衆国のフロリダ州のオーランドで、ディズニーやユニバーサルスタジオやサンセットが素晴らしいビーチなどを有するThe・リゾートな場所でした。 日本からは飛行機の乗り換えも含めて片道で約14時間程度の移動時間でした。*3

カンファレンス会場のOrange County Convention Centerは、現地のUberドライバーによると「まるで城のようだ」と称されており、その巨大な規模と白を基調とした美しい外観と内装を持つ素晴らしい会場でした。

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美しい内装

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美しい内装その2

セッション

個人的なオススメセッションを紹介します。

Vision Keynote with Satya Nadella | Microsoft Ignite 2019

とにかくこちらがメインと言えるSatya Nadella氏のビジョンキーノートは必見と言えるでしょう。

www.youtube.com

冒頭からAzureの新サービス/新機能が次々と紹介されていて、個人的には以下が特に印象に残っています。

  • Azure Arc - ハイブリッドどころかAWSやGCPなどのマルチクラウドまで管理してしまうサービス
  • Azure synapse analytics - GCPのBigQueryに対抗する超高速かつビッグデータに対応したDWH
  • Windows Virtual DesktopのGA - いわゆるVDIのGA、AWSのWorkspacesに競合するはず
  • AKSのCluster autoscaler機能のGA - KubernetesサービスであるAKSでノード増減を自動調整してくれます


他にも未来感のある以下の技術の紹介があり、

  • 量子コンピューティングであるAzure Quantum
  • 想像を絶する強度を誇るglass storage

Satya Nadella氏の聞き取りやすくて情熱のある英語で語られて刺激的で興奮できる良いキーノートだったと感じました。*4


一方でユーモアな場面もあり、冒頭はSatya Nadella氏がUniversal Studioでエイリアンをスペシャルなパワーで倒すところから始まり、終わりはMinecraft Earthの世界でやはりSatya Nadella氏がモンスターを蹴り落とすような展開に胸が熱くなることでしょう。*5


蛇足としてVision Keynoteを見るときにオススメしたいのは、実際の会場をイメージして視聴することです。当日の会場はサテライト2つを含む数千人が現地でも視聴していまして、一流のアーティストのコンサートホールの様相でした。 加えて"無限コーヒー"がデプロイされていますので、

  • 部屋の照明を薄暗くし
  • 手持ちの最高クラスの音響/またはヘッドホンを利用し
  • ドリップしたコーヒーをたっぷり

準備した状態で視聴するとより雰囲気が味わえるかもしれません*6

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Azure CTOのMark Russinovich氏シリーズ

私はこれまで存じ上げていなかったのですが、AzureのCTOのMark Russinovich氏のセッションは会場から人が溢れるほどの人気がある名物セッションで、彼のセッションだけ氏の名前を冠していました。具体的には以下の5セッションを5日間のイベントでされていて、そのバイタリティに尊敬の念を抱きます。

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  1. Quantum computing + Data Centers + Azure Keynote announcements with Mark Russinovich
  2. Mark Russinovich presents next generation app development and deployment
  3. Mark Russinovich Presents the Future of Cloud Native Applications with OAM and dapr
  4. Quantum computing: Computing with a probabilistic universe with Mark Russinovich
  5. Inside Azure datacenter architecture with Mark Russinovich

私が観たのは3と5の2セッションですが、どちらも完成度が高い素晴らしいプレゼンテーションで、内容も表現も飽きることがなく一つのショーを観た印象を持ちました。


特に5の Inside Azure datacenter architecture with Mark Russinovich はAzureのデータセンタを支える超技術の一挙紹介という内容で、完全に水没した水冷のサーバ基盤や、コンテナサービスを支えるAtlas、ホストが落ちてもメモリが維持されてしれっと復旧できるTardigradeなどインパクトが強かったです。

Continuous Infrastructure - leveraging Terraform with Azure Pipelines

Hashicorp社からも同日にアナウンスがされたTerraformのAzure DevOpsサポートに関連するセッションです。Microsoft Technology Center(MTC)という大広間にガラスで区切られた40人程度が入る空間で行われたのですが、満員で入れずに外からの立ち見をしたのが印象的でした。*7

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Azure Pipelines loves Terraformな図

Run your Linux workloads faster leveraging the Azure platform enhancements

このセッションはコアな技術感がてんこ盛りで、サービス概要の紹介系のセッションに少し食傷気味だったところにとても刺さった記憶があります。 セッション紹介をそのまま以下に引用しますが、SRIOVとかグッとくるものがありませんか。*8

Join our platform engineering team to hear about the investments and tools we built and contributed upstream for low latency networking, RDMA over SRIOV, infiniband, low latency storage, large size VMs, and more! Learn about the joint collaboration we have across Red Hat, SUSE, and Canonical to make Linux runs great on Azure, and see how to enable these features in your production environment and make your workloads run smoother on Azure.

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Linux Distributions tuned for Azureな図

加えて以下のベンチマークツールもデモと共に紹介されてテンションが上がりました。

  • マルチスレッドなネットワークスループットを計測するツール ntttcp github.com

  • ネットワークのLag/レイテンシを計測するツール lagscope github.com

Migrating IaaS workloads to Azure

多くのセッションでも利用されていた架空のデモ会社 Tailwind Traders のIaaS環境を、Migrationサービスを活用してAzureに持っていくという話です。 スピーカのPierre Roman氏の語り口が個人的にとても良くて、小粋なおじさん系ユーモアを入れつつ話してる内容は老練なガチエンジニアな感じが楽しかったですし学びも多くありました。

マイグレーションのデモを完全に決めた後からの「今見せたところが一番簡単な部分です。それ以外のドキュメント整備や移行後のガバナンスなど大変な事は多くあるんだぜ」的なセリフには痺れました。*9

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デモシステムなのでサブネットの切り方が微妙なTailwind Trader社の図

それ以外のところで

セッションの紹介はとても仕切れないのでほどほどにしておき、セッション以外の面白かったポイントを紹介します。 (すでに紹介した以下は割愛します。)

  • 無限コーヒー
  • 無限ジュース
  • アニマルセラピー
  • XBOX体験コーナー

ハイテンションで陽気なカンファレンススタッフのみなさん

これは是非伝えたいポイントで、会場のあちこちにパープルなTシャツを来たカンファレンススタッフが立っていて、道案内や各種質問などに陽気に対応してくれていました。

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パープルなTシャツで陽気に対応してくれるスタッフのみなさま

中でも朝食を案内していたビッグサイズの青年のテンションはピカイチで、手拍子と共に「Hoooooooo!!!」といった歓声を上げつつ案内している様からは、時差ボケからの眠気を吹っ飛ばして思わず笑顔にしてくれました。*10

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遠いですが、センターのパープルTシャツな青年が最高でした

靴磨きの職人たち

なかなか日本では見かけない、靴磨き用のスペースと職人さんがいらっしゃったのが新鮮でした。正直いって参加者の多くがエンジニアですから、ほとんど革靴を履いている人間がおらず、暇そうにしていたのがコミカルでした。

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ほとんど見る事がなかったお客対応中の様

スポンサーブースも刺激的

吹き抜けの大広間では、数多くのスポンサーブースが配置されていて、バラエティのあるノベルティを配布していました。以前弊社で開催した OiStudy #3 - 海外カンファレンスってどんな感じ? で海外カンファレンスベテラン勢の皆さんから聞いていた通り、Tシャツが大量にもらえるので着替えを少なめにしておいて大正解でした。

oi-study.connpass.com

特に印象深かったのはRed HatさんのRed Hatがもらえるノベルティです。AnsibleとかOpenShiftなどのワッペンをチョイスすると、それをRed Hatに付けてくれてもらえる面白い趣向でした。

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Red HatさんのRed Hatが作られる図。スタッフも素敵な方でした

ユニバーサル スタジオ フロリダを貸し切ったセレブレーションパーリィ

参加者も前日まで知らなかった、スーパーサプライズなセレブレーションパーティーは、まさかのユニバーサル・スタジオ・フロリダ(USF)を貸し切って行われました。

  • アトラクションはもちろん稼働
  • 19:00からの貸切で一般参加者は退園していて、小さいお子様は見かけない*11
  • 飲食系の売店は全部フリー*12

という条件で、食べ放題で遊び放題の夢の国が実現していました。USJ経験のある同僚のナイスなナビゲーションもあって日本にはないハリーポッターのアトラクションを体験できたのは最高に楽しかったです。*13

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ホグワーツ城@USF

英語力について

上述したように、素晴らしい体験になったのは間違いありませんが、自分の英語能力の至らなさを強く痛感した数日間でもありました。 日頃からドキュメント等で英語への抵抗はさほどありませんでしたが、いざ実際に会話やセッションの聴講となると英語力の不足を感じざるを得ませんでした。

パープルキャロットという、アメリカのボストンの会社を子会社とした弊社では、希望者はオンライン英会話の支援を受ける事ができ私も利用しています。今回の実践を通して改めて勉強不足だと痛感できましたので、これからの英語学習にもより気合が入ります。

www.oisixradaichi.co.jp

終わりに

私にとって初めての海外カンファレンスの参加でしたが、期待と想像を遥かに超えた濃密で充実した6日間を過ごす事ができました。素晴らしい場を作ってくれたMicroSoft社にはもちろん、機会を提供してくれた弊社にも心から感謝していますし、学んだ多くを少しでも業務等で還元していきたいです。*14

*1:14時間の時差はなかなか...

*2:正確にはPre-Dayの2019-11-03もあったので、6日間の開催でした

*3:機内での映画視聴や読書がとても捗りました

*4:ずっとSatyaが語るわけではなくて、各セクションの担当が入れ替わりでプレゼンしていく形です、軽妙なプレゼンターのスイッチにも良さがありました

*5:そしてSatya Nadella氏はMinecraftがめっちゃ好きらしいです

*6:味わえないかもしれません

*7:外部スピーカが途中まで故障していてセッションの内容はほとんど頭に入って来なかったですorz

*8:グッと来なくても大丈夫です

*9:英語力のない自分の適当ヒアリングなのでニュアンスが違うかもしれません

*10:ここはコンサートホールで私たち参加者はスターなのかとツッコミを入れたい感じでした

*11:大人がめっちゃはしゃげる

*12:レジ打ちはしっかりしていたので、MS社に後から請求がいったのかも

*13:ウィンガーディアム・レビオーサされて浮遊した上でクディッチとかで振り回されたせいで正直酔いましたが

*14:真面目な結びになってしまった

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